八 重 歯 ( 叢 生 )
double teeth



一般的に“八重歯”と呼ばれている、糸切り歯(犬歯)が周囲の歯列から外側に飛び出していて、隣の歯と重なるように生えている状態は「叢生(ガタガタの歯並び)」の一種です。
犬歯は、顎を左右に動かしたときに奥歯への過剰な負担を防ぎ、奥歯や顎関節を保護する役割があるため、咬み合わせにおいて重要な歯です。
犬歯は、顎を左右に動かしたときに奥歯への過剰な負担を防ぎ、奥歯や顎関節を保護する役割があるため、咬み合わせにおいて重要な歯です。
八重歯になる原因
八重歯になる原因は様々ですが、どれも“スペース不足”に起因しています。

代表的な原因としては…
- 顎の骨が小さい
上顎の成長が十分でないと、歯が並ぶためのスペースが不足してしまいます。永久歯の萌出順序としては、犬歯の両隣の歯が先に生えることが一般的なので、スペース不足により犬歯が飛び出してしまいます。
- 歯が大きい
1本1本の歯の大きさには、個人差があります。歯が大きいと、顎の成長が正常であっても、スペースが不足してしまいます。顎が小さいと、さらに八重歯のリスクは増大します。
どのように治療するの?
治療方法は、歯並びや咬み合わせの状態によって異なります。下記の説明内容は、ケースによって異なる場合があるため、参考程度にご覧ください。
八重歯は叢生(ガタガタの歯並び)の一種であるため、基本的には、叢生の治療方法と同じように、歯が正しい位置に並ぶためのスペースを確保する治療を行っていきます。
ひと昔前には、八重歯自体を抜歯してしまう治療方法もあったようですが、犬歯は咬み合わせにおいて重要な歯でもありますので、可能な限り抜かずに治療しています。


お子さま(1期治療)の場合
歯列(歯が並ぶ部分)が狭い場合、ワイヤー(針金)や拡大床(プレートタイプの矯正装置)等の装置を使用して治療を行います。
予め、歯列の横幅を広げておくことで、永久歯が並ぶスペースをつくり叢生(ガタガタの歯並び)を改善していきます。
予め、歯列の横幅を広げておくことで、永久歯が並ぶスペースをつくり叢生(ガタガタの歯並び)を改善していきます。
この場合は永久歯の抜歯の必要がなくなる場合があります。ただし、顎の成長が止まっている人への適用は難しくなります。

01
歯の大きさを整える
もともとの歯の大きさが基準値よりも大幅に大きい場合、隣り合っている歯の接触点(コンタクトポイント)を少しずつ削ることで大きさを整え改善していくことがあります。
歯に問題がない程度の量を、ヤスリのようなものをかけることで削っていきます。
歯に問題がない程度の量を、ヤスリのようなものをかけることで削っていきます。
02
便宜抜歯
叢生(ガタガタの歯並び)は骨格的問題(アゴのサイズ)と歯の問題(歯のサイズや歯の数)
のつじつまが合っていないことが原因ですので、一般的には小臼歯(前から4番目もしくは5番目)を抜歯して、歯がならぶスペースを獲得することがあります。
のつじつまが合っていないことが原因ですので、一般的には小臼歯(前から4番目もしくは5番目)を抜歯して、歯がならぶスペースを獲得することがあります。
※むし歯等の状況により保存困難な別の歯を抜歯することもあります
03
歯科矯正用
アンカースクリューの利用
ワイヤー(針金)を入れて、叢生(ガタガタ歯並び)の改善を図る時、その過程で前歯が少し前に出てしまう場合や抜歯してできたスペースに奥歯が移動してしまうことがあります。そのような場合、歯科矯正用アンカースクリューを固定源にして後方(お口の奥の方)へ引っ張りながら治療を行うことで、歯を確実に動かせるようになるため、治療期間が短くなったり仕上がりが良くなったりすることもあります。
成人(永久歯列)の場合
当院では、ワイヤー矯正(表側、裏側(舌側矯正))だけでなく、マウスピース型矯正装置による治療も行っています。
治療しないことによる影響
可愛らしいイメージもありますが、歯列の乱れには違いありませんので、問題点も存在します。

虫歯や歯周病のリスクが高まる
八重歯は非常に磨きづらい歯です。叢生(ガタガタの歯並び)と同じように、歯と歯が重なっていると歯磨きが難しく、磨き残しの原因となります。磨き残しが多いと、虫歯や歯周病のリスクを高めることに繋がります。
奥歯や顎関節に負担がかかる
本来、犬歯(糸切り歯)は顎を左右にずらしたときに、犬歯同士があたって奥歯同士が離れている状態をつくることで、奥歯にかかる負担を軽減しています。
しかし、八重歯の状態では、咀嚼においてほとんど役に立ってはいないため、奥歯や顎関節への負担がかかってしまします。
しかし、八重歯の状態では、咀嚼においてほとんど役に立ってはいないため、奥歯や顎関節への負担がかかってしまします。
八重歯に唇がひっかかって、口が閉じにくい
犬歯(糸切り歯)が歯列(歯並びのアーチ)から飛び出ていることで、唇がひっかかり閉じにくいことがあります。口が開きやすく口呼吸が続くと、口臭やむし歯、歯周病のリスクが高まる他、免疫力の低下や集中力が低下したり、身体の代謝も落ちてしまうことがあるといわれています。
見た目のコンプレックス
八重歯が「かわいい」という評価を受けている時代もありましたが、近年では八重歯が「歯並びの乱れ」であり「治療が必要である」ということが正しく認識されるようになってきました。
現在はまだ気にならなかったとしても、将来的に八重歯の見た目がコンプレックスに感じるようになる可能性は十分考えられます。
現在はまだ気にならなかったとしても、将来的に八重歯の見た目がコンプレックスに感じるようになる可能性は十分考えられます。